Akigawa Valley Geo Course
ジオ講座
ジオを理解するための基礎的・基本になることの学習活動に努めます。それを基に、秋川・平井川流域の地質資源、自然環境と生物、歴史・文化遺産についての理解を深めます。
また最先端の研究や課題についても、識者や第一人者を招いた講演会や、研究会も随時企画します。
巡検やフィールドワークで得られた知見は研究発表会やジオ通信・ホームページ等を通じて公開していきます。ご期待ください。
2026年度学習会の予定
2026年の学習会の計画が発表になりました。まだ実施会場とか決まっていないところもありますが、2026年1月から新しい計画でスタートします。
計画表を参照の上、参加の準備・お誘いをお願いします。
学習会は、毎月第4土曜日午後2時より秋川流域ジオの会全体会の会場で行われます。
(2月は2025年度総会のため学習会はお休みです。)
会場については、決まり次第このページで公表します。奮ってご参加下さい。
2026年学習会予定はこちら
10.2026.11.28 地球(個体)潮汐と若水 高平和己氏 (秋川流域ジオの会々員)
9.2026.10.24 私の西丹沢プロジェクト 矢島そのみ氏
8.2026.09.26 読んで知る秋川流域のジオ ジオ本編集委員会
7.2026.08.22 石仏と石材 内山孝男氏(秋川流域ジオの会々員)
6.2026.07.25 日の出町昔ばな しとジオ書籍 梅本益雄氏 (日の出町史編さん委員会)
5.2026.06.27 小豆島ジオ散歩と大阪城の石垣 大澤夕希子(秋川流域ジオの会々員)
4.2026.05.23 地域外研修 大月・猿橋巡検の復習 鈴木肇氏・池田美智子氏(秋川流域ジオの会)
3.2026.04.25 奥多摩から世界の山へ 冨士光男氏 (秋川流域ジオの会々員)
2.2026.03.28 プレートテクトニクス 竹内 英二氏 (秋川流域ジオの会々員)
1.2026.01.24 井戸と井戸水 角田清美氏 (秋川流域ジオの会々員)
5.小豆島ジオ散歩と大阪城の石垣 大澤夕希子(秋川流域ジオの会々員)
ジオに興味を持てばもっと観光を楽しめると思ったのが秋川流域ジオへの入会のきっかけ。
今回は小豆島を紹介する。日本のジオパーク48地域うち11地域が世界ジオパークに認定されている。小豆島にもジオパーク構想があり最初から世界ジオパークを目指している。
地質的には8000万年前の花崗岩の上に1300万年前の火山岩が乗る二重構造。火山岩は下の方が火山礫岩で上が安山岩、上はなだらかな地形になっている。巽好幸氏によれば三都半島はマントル直結の安山岩で世界のマグマ学者にとって「聖地」だという。
地滑りで埋まった斜面に「中山の千枚田」ができた。
島の東西あるふたつのトンボロ。トンボロは砂州で、引き潮の際に現れた砂州を歩くと願いがかなうという。砂州の砂は花崗岩が風化した「まさ」。世界一狭い土渕海峡は全長2.5km、狭いところの幅9.9m。
オリーブの丘は11月がおすすめ。青い実と黒い実の両方が見られ、新漬けが買える。はじめは青梅みたいにカリカリだが時間とともにだんだん柔らかくなって味わいが変わる。日露戦争に勝利し、領海が広がったことでイワシがたくさん捕れるようになり、油漬けする必要からオリーブが移植されたらしい。醤油の町「醤の郷」は醤油のテーマパーク。もともとは大坂城に石を送ったことに関係があり、大阪の石工たちが醤油を持ち込んだらしい。
八人石丁場と天狗岩石丁場は国史跡になっている。大坂城は、もともとは豊臣秀吉が作った城だが徳川秀忠は豊臣大坂城を完全に覆って現在の大坂城を築き、豊臣時代が見えないようにしてしまった。現在は豊臣時代の地下石垣が公開されている。
「天下普請」とは徳川時代の巨大公共事業で実際は大名統制策。対抗する大名の力を削ぐために全国の大名に命じて城を築かせた。出費は大名持ち。徳川大坂城の石垣は総延長12km、石は100万個を超えるという。大坂城の第一位の巨石「たこ石」は厚さがわずか70cmで、裏が石垣で支えられていた。第二位の「肥後石」や大手門枡形の巨石は肥後の加藤家と言われてきたが今は備前の池田家が小豆島から運んだことになっている。しかし小豆島には池田家の丁場跡は無いので疑問が残る。
石積みの技術と石の加工度は時代とともに変化し、最初は未加工の石を積む野面積み、次に石の表面を剥いで多少の加工をした石を積み隙間に小石を詰める「打ち込みハギ」、完全に成形し隙間無く並べる「切り込みハギ」と進化する。隅角の部分は特に荷重がかかるので大きな石材を交互に積む。これを「算木積み」という。豊臣大坂城は野面積みで隅角は算木積みの初期形態。
小豆島の天狗岩丁場を紹介。40分ほどで散策でき、666個もの残石が残っている。せっかく割ったのに運ばれなかった残念な石。大天狗岩は巨大な礫で採石が行われなかった「種石」。「刻印」は石の表面に彫られたマークで、その石が帰属する藩を示す。八人石は巨大な残石で、割る際に8人の石工が亡くなったという。山の三角点の標石はほとんどが小豆島産なのだそうだ。
香川県高松市の庵治石は最高級の細粒花崗岩。石の民俗資料館で採石の様子がわかる。兵庫県東六甲の大坂城石丁場跡も国指定史跡。良いパンフレットがあって採石や運搬の工程がわかりやすい。[記録 内山孝男]
小豆島
小豆島の地質
寒霞渓
小豆島の二重構造
マグマ学者の聖地
中山の千枚田
二つのトンボロ
土渕海峡
オリーブ発祥の地
オリーブの実
大阪城 復元天守閣
徳川は豊臣の城を埋めた
創建当時の地下石垣
大阪城の巨石一覧
巨石1位 蛸石
巨石2位 肥後石
加工度と並べ方1
加工度と並べ方2
三角点標識はすべて小豆島石
庵治石 最高級花崗岩
4.丹沢衝突帯と猿橋溶岩流 鈴木肇氏・池田美智子氏(秋川流域ジオの会)
2016年1月18日(日)に行った地域外研修「岩殿山・猿橋巡検」の机上報告版である。
(詳細は 「地域外研修岩殿山・猿橋巡検」 を参照。)
ここでは、ツアー報告では掲載できなかったデータ(桂川の「鼻の鼻」露頭、冨士山の地質・地下構造、溶岩流、猿橋周辺の地形形成、藤野木—愛川構造線、丹沢山地の地質構造など)について紹介する。
象の鼻露頭
大月の市街の下・桂川にある。北に傾斜した猿橋凝灰岩層(丹沢地塊が活発な火山体であったときの火山噴出物)その上に冨士山から流れてきた玄武岩系の猿橋溶岩。柱状節理が見える。左上に岩殿山々頂
冨士山の地質図
日本で一番大きい山、マグマの量も日本一、マグマはほぼ玄武岩質で日本では珍しい。
マグマは桂川を伝って大月・猿橋まで流れ下っている猿橋溶岩である。
冨士山は4階建て?
各々数10万年~ 1万年~
SiO2の含有量:重量%
冨士山の資料は「冨士山の地下構造とマグマ」藤井敏嗣(東大地震研)日本火山学会第11回公開講座資料より
桂川と猿橋溶岩流による変化
猿橋溶岩流が桂川に流れたことにより川の流れは右岸の柔らかい凝灰岩を削って流れるようになった。
猿橋溶岩流
猿橋の町は溶岩流の上に発達している。崖下から眺めると、柱状節理を見ることができる。
猿橋(青丸)は、凝灰岩崖の川幅の狭い部分に架けられている。
巡検地の地質概略図
丹沢地塊が日本列島に衝突して来た境界域。境界断層が藤野木ー愛川構造線。北側が四万十帯、南側がトラフ堆積岩や凝灰岩・貫入岩。その南側は丹沢層群。
断層境界露頭
前図地質図の赤丸(浅利川)付近、演者の鈴木氏が探しに行って撮影した。
伊豆弧はフィリピン海プレートの北上で衝突
D:櫛形山地塊 → A:伊豆地塊の順番で次々に衝突してきた。
年代順による衝突の様子
500万年前の図で富士川層群と総称されているその一部が今回の巡検で見てきた岩殿山礫層である。
3.奥多摩から世界の山へ 冨士光男氏 (秋川流域ジオの会々員)
参加者数会員32名会員外1名 計33名
日本山岳ガイド協会認定登山ガイドのステージ2、大手旅行会社の登山コンダクター、森林セラピーガイドなどをやってきた。奥多摩町観光ガイドの第一期生で、2018年からは日の出町観光ガイドの会の会員で現在会員は24名いる。今週の月曜日(2026.04.20)には奥多摩駅から御前山にイワカガミを見るツアーを実施し、27名の参加があった。
奥多摩から世界の山へ、いろいろな山を紹介したい。日の出三山は勝峰山・麻生山・日の出山。勝峰山は石灰岩の山でカルスト地形のドリーネがある。採石により武甲山のように削られている。麻生山は遠くから見ると双耳峰に見えるが左と右で樹種が違うためだ。日の出山からは関東一円が見渡せる。元旦にはご来光を仰ぐ登山がある。2月の1週か2週には雪が積もることが多く、屋根の雪と周りの雪がつながると家が潰れてしまうので雪の多い年には東雲山荘の雪かきをしてきた。昨日登ったらシロヤシオが咲いていた。「根性松」と呼ぶ曲がった赤松も名物の一つだ。高尾山は世界で一番登山客の多い山。数年前に2階建てのトイレができたが、それ以前は女性のトイレは2時間待ちだった。奥多摩三山は大岳山・御前山・三頭山。大岳山はどこから登っても厳しい。頂上の三角点近くに都の標識があるが、新しいデザインのものになった。雲取山も人気が高く、コロナ以前には山小屋の朝食が三交代だった。
深田久弥の日本百名山。利尻山から屋久島の宮之浦岳まで100の山を選んだ。そのうち浅間山は以前はお鉢巡りができたが、今は警戒レベルが上がり、出来なくなっている。深田クラブが選定した二百名山もある。荒船山は頂上の広い山で、その端に1422.7mの経塚山がある。クレヨンしんちゃんの作者がここから落ちて亡くなった。日本山岳会の三百名山もある。このうち横手山からは360度の展望が楽しめ、山小屋のおばあちゃんがおいしいパンを焼いている。
定年退職してからは世界の山に足を向けた。カナダ・バンフ国立公園。スカンジナビア半島の最高峰ピッケンガルフ。スカンジナビアは緯度が高いので夜10時まで明るく、朝は2時から明るい。サクランボを売る店が登山道の脇に並んでいた。ネパールではアンナプルナベースキャンプまで行ったが、ネパールでは自分で荷物を持って歩くのは良くない。地元にお金を落とさなきゃいけないからポーターを雇う。スイスに魅せられて18年通った。モンブランはコスミック小屋を朝3時に出発して9時に山頂に着いた。山頂から家に電話したら、もう着いたのかと驚かれた。その後グーテ小屋に降りたが、普通はグーテ小屋から登る。グーテ小屋からなら誰でも登れるがコスミック小屋経由はクレバスが多い。ツールドモンブランというモンブランの周囲を廻るコースがあり、ツアーなら小屋から小屋へ荷物を運んでくれる。この時は妻と一緒に一週間かけて自力で廻った。
奥多摩の稲村岩もアルプスのドロミテも石灰岩で出来ている。日本の石灰岩には鍾乳洞があるがヨーロッパアルプスにはない。日本の石灰岩はCaCO3とMgCO3の比でCaCO3が90%以上と高く、ドロミテの石灰岩はCaCO3が55%程度と低い。つまり日本の石灰岩は純度が高く、ヨーロッパの石灰岩は苦灰岩で、サンポールをかけてもわずかしか泡が出ない。日本の石灰岩は国内で自給できるたいせつな資源だと思う。
最後に、健康の秘訣は歩くことだ。私は四捨五入すれば90歳になるが今でも歩いている。(記録:内山孝男)
講演する冨士さん
日の出三山 麻生山
日の出山 雪の東雲山荘
日の出山の名物 根性松
奥多摩三山 大岳山
日本百名山 雲取山
日本200名山 荒船山
冬の和ノ倉山 演者
カナダ バンフ国立公園
ヨーロッパアルプス ツールドモンブラン
ヨーロッパアルプス マッターホルン
トリチーメ・ディ・ラヴァレード(Tre Cime di Lavaredo) イタリア北東部 ドロマイトの山)
2.プレテクと付加帯 竹内 英二氏 (秋川流域ジオの会々員)
「プレートテクトニクスと付加体」 プレートテクトニクスという考え方は1960年代、私が高校生だった頃に現れたが、日本は受容が遅れた。それ以前の考え方では「地向斜」と言われるへこみを考えた。ここに堆積物が溜まり、火山活動も起きる。その後、これが隆起する。これですべて説明していた。プレテクの最初はウェゲナーの大陸移動説。今ある大陸は、もともと一緒だったものが分裂したのだということを化石生物の分布によって唱えた。陸生動物は海があると行き来ができないはずだが南アメリカ大陸とアフリカ大陸から同じ古生物の化石が出る。もともとくっついていたと考えれば話が合う。離れた大陸に同じ特徴的な植物が分布していたり、バラバラな氷河の流れの方向が、くっつけてみればつながったりする。それらは大陸が分裂する前のゴンドワナ大陸当時のものである。ウェゲナーは地質屋ではなかった。専門家ではないから自由な発想ができた。プレテクの証拠の一つにテープレコーダーモデルがある。地球の地磁気は反転を繰り返してきたが海洋底にその記録が残る。こうして中央海嶺付近が新しく0.7Maまでは正磁極期、0.7Ma~2.5Maまでは逆磁極だということを松山が発見した。0.7Maの境目の地層がつまりチバニアンである。海底の地質図を見ると中央海嶺の近くから第四紀、第三紀、白亜紀と海嶺から離れるほど古い地層になっていく。火山や地震は地球上のいたるところでバラバラに発生するわけではない。火山や地震の分布には法則性があり、多発するところには何かが起こっている。日本は狭い国だが4つのプレートがあるから火山も地震も多い。地球の表層はプレートという岩盤でできている。そのうち海洋プレートは堆積物を乗せて移動し陸からの土砂が海溝から入って付加体ができる。だから付加体にはさまざまな岩石が混ざり合っている。砂箱による付加体の形成実験。音波探査で描かれた四国沖の海底の断面。この、押しつけられてグシャグシャに折りたたまれたものを付加体という。普通、自然に堆積したものは引力によって下が古くて上が新しくなるが、付加体は後から下へ下へとめり込んで入っていくから下のものほど新しい。日本全体がこうした付加体でできており、同じ時代の付加体が帯状に配列している。(記録 内山孝男)
講演者 竹内英二氏
地向斜論(1960年代日本の地学者達はこれによりプレテクの導入が遅れた。)
大陸移動説を最初に提唱したアルフレッド・ウエゲナー
世界の大陸はプレートに乗って移動してできた。古化石での証拠。
地層の連続からも元は一体のパンゲアだった。氷河や植物分布でも。
プレートが生まれる中央海嶺では、地磁気がテープレコーダのように記録さる。日本の松山基範の発見。
日本列島周辺のプレート
世界のプレート
プレート移動による付加帯
付加帯によって出来る地層の層序
西南日本は付加帯により形成
ホットスポットによる天皇海山列
1.井戸と井戸水 角田清美氏 (秋川流域ジオの会々員)
皆さんに配布した地形図は大正10年測図のものだが、秋留台地には家が全くない。これは台地上では水が得られないからである。1960年代の人口数の急増は水道が普及したからで、それにより五日市線が電化し東京直通もできた。
段丘面は礫で出来ており水を通すから透水層、その下に、礫の間に泥砂を含み水がゆっくり通る層がある。これが難透水層だ。これが水を帯びて溜める地層であり、透水層との境いから水が沸く。武蔵引田駅北口にあったリオン電子構内で降水量と井戸の水位の関係を調べた。降水量が多ければ水位は上がる。つまり降った水が地下水になるわけで、地上で水を汚せば地下水も汚れる。
東秋留付近の段丘と湧水の図=一番高い秋留原面は立川Ⅱ面で、ここだけが立川ロームを乗せている。宝清寺の下の段丘崖では崖の途中から水が湧き出している。そのレベルに透水層と難透水層の不整合があるはずだ。
渕上の開戸センターの中庭にある「渕上の石積み井戸」、近くのお寺の開創が14から15世紀であることから同時期にできたと考えている。よく見ると石積みの中に伊奈石の石臼があり、この臼を外せば石積みは崩れてしまうことから、伊奈臼も当時のものということになる。
豊水時の地下水面等高線を示した。等高線に直交する方向に水は流れる。だから伊奈あたりでは南にながれていることになる。全体としては東と南に移動している。乏水時の地下水面の高さを見ると、台地の地下水面は平井川よりも低くなっている。平井川の水が台地に入っていることがわかる。
新編武蔵風土記稿には村ごとに野土(ノッチ)か真土(マッチ)かの記載がある。野土は野原の土、真土は作物の育つ良い土だ。
秋川や多摩川では水量の増加とともに下刻が進み両岸に河岸段丘が出来た。平井川の場合、多摩川の下刻に伴って河口部の川床が下がり、それが上流に伝わっていく。
秋留台地の生い立ちを示してみた。秋川は南に移動しながら下刻が進み、台地の南側に段丘を残していったことが分かる。
戸倉周辺にはたくさんの横井戸がある。しろやまの斜面を流れ下る地下水を横に引っ張ってくるから横井戸だ。そのままでは枯れ葉が水を覆い、枯れ葉は腐って水質を悪くするからコンクリートで水を覆って防いでいる。
角田清美氏
降水量と地下水面変化
東秋留付近の段丘地形と湧水 右上の黄色部分が立川ローム
渕上の石積み井戸
飽水時の地下水面等高線図
平井川から秋留台地への地下水脈
野地(ノッチ)と真土(マッチ)黄色部分がマッチ
秋川(左)と平井川(右)の河岸段丘の形成
秋留台地の生い立ち(1)
秋留台地の生い立ち(3)
戸倉の井戸(1)
戸倉の井戸(2)
2026地学講演会
外部講師をお招きした年1回の講演会です。
どなたでも参加できます。お仲間を誘ってお越し下さい。
2026.02.23 五日市交流センタにおいて、98名の参加者を得て「2026地学講演会」が行われた。
プレートテクトニクス論とは異なる考え方で,海面の上昇・下降により各大陸の生物の移動や分布がどのように行われたがを、多くの事例をあげて話された。(詳細は演者の近著「沈んだ大陸ー大規模海面上昇と動物分布の謎ー」ISBN978-4-344-69194-0 C0045 \1600E)
その内容・考え方の報告は、こちら(ジオ通信NO.27のPage 4)を参照して下さい。
講演する柴 正博 氏
スライドの一部
2025年度学習会・講演会
2025年10月及び11月の会場はファインプラザ第3研修室です。ご注意ください。
2025年度のジオ講座(全体会の前半の学習会)の予定が発表されました。
皆様の参加をお待ちしています。ご期待下さい。
2025年後半期学習会はこちら
2025年前半期学習会はこちら
学習会は、毎月第4土曜日午後2時より秋川流域ジオの会全体会の会場で行われます。
どなたでも参加でき申込み不要です。参加費は¥300です。(会員は無料)
会場は主に五日市交流センター2階会議室ですが、変更になることもありますので、ご確認下さい。
10.2025.11.22 村田文子氏 ヒマラヤあちこちある記 (秋川流域ジオの会)
9.2025.10.25 大森雄二氏 あきる野市の植物 (秋川流域ジオの会)
8.2025.09.27 青谷知己氏 野生動物との共存 ー足尾,秩父,五日市で撮影した映像を通してー
(秋川流域ジオの会)
7.2025.08.23 広藤明人氏・鈴木肇氏 野の土を釉薬に使って出る色を楽しむジオ陶芸の話
(秋川流域ジオの会)
6.2025.07.26 三宅島火山について考えたこと 吉村成公氏 (秋川流域ジオの会)
5.2025.06.28 各地で拾った石ころたち 山田昌広氏(秋川流域ジオの会)
4.2025.05.25 水辺林の話 小泉武栄氏 (秋川流域ジオの会)
3.2025.04.26 関東山地東麓付近の地形と地質 角田清美氏(秋川流域ジオの会)
2.2025.03.22 上総層群の化石 長岡徹氏 (秋川流域ジオの会)
1.2025.01.25 五日市町層群の化石 内山孝男氏 (秋川流域ジオの会)
10.ヒマラヤあちこちある記 村田文子氏 (秋川流域ジオの会)
昨年ナンガパルバット北西面をトレッキングした。今年3月にはルクラからべースキャンプまで。10 月にはグレートヒマラヤの裏側を見てみたいと思いチベットからネパールへ旅行した。ヒマラヤというとチベット・ネパール国境の山々が知られているが西のカラコルムのK2やナンガパルバットはパキスタンで、ネパール、ブータンを経て東のナムチャバルワへと⾧大な距離を弧状に連なっていて、両側の端からは南へ曲がっていく。インド亜大陸がアジア大陸を北へ押し込んでいるためである。チベットは全体が標高4500 から5000m もの広大な高原で地殻の厚さはものすごい。南西部にあるカイラス山の山麓が大河の源となり、東へヤルツァンボ川(途中からプラマプトラ川)がヒマラヤの北縁を流れ、西へはインダスが流れ、ナンガパルバットあたりから南に流れを変えてインドへ。カルナリ、ナラヤニ、アルンなど、ヒマラヤを侵食して縦に突っ切る川もある。ゴンドワナ大陸が分裂してできたインド亜大陸はテーチス海のプレートに乗って北上し大陸にぶつかっているから地層境界は低角で北向きに傾斜し、ためにテーチス海の海洋底は亜大陸側にのし上がっている。大陸と亜大陸の境界は断層となり、押し込みによって南へ南へと新たな断層ができていく。
まずエベレスト街道をレポートする。ルクラまではフライト。ルクラの空港は山の上にあるから滑走路が極端に短い。まっすぐに滑走できず、急に曲がって駐機場に入っていく。一気に2680m だからたいへんなのは高度順応である。日本の山のように尾根を行くのではなく渓谷を行くが、何度も川まで下がり、そこからまた上がるのがつらい。橋は全部吊り橋だ。ネパールの山道は生活路で、トレッキング客だけでなく人や家畜もたくさん通る。家畜を避けるときにバランスを崩したりする。氷河が削ったような急な崖が続く、花崗岩質の岩のようだ。道の石段はすべて片麻岩を積んでいる。こうしてやっとナムチェ3450m に着いた。三食すべてキッチンポーターがつくってくれた。外国人トレッカーに慣れているから味も良かった。これらに従事する人たちはシェルパやマガールなどのチベット系の人たちである。ティンポチェ4343m、ロプチェ4930m を経てゴラクシェプ5140mが最後の山小屋。5170m まで上ったところで高山病に罹り、あえなく敗退してしまった。
次にチベットからネパールへの縦断旅行。チベット自治区内への旅は個人旅行ができず、旅行会社を通したツアーになる。青蔵鉄道でラサへ。中ネ公路でネパールへ。青蔵鉄道は5000m を超えるところもあるからすごい。車内には酸素マスクの用意もある。中ネ公路はインダス・ツァンポ縫合帯、ヤルツァンポ川を通る。途中には先の地震で家々が倒壊し、修理中の地域もあった。ラサはきれいな大都会でゴミ一つ無かった。ジョカン寺やポタラ宮は外国人観光客も多く、中国国内の旅行熱が高いから中国人観光客も多かった。ポタラ宮は三畳紀の石灰岩からなる段丘面に建っている。よくこんな建築ができたものだ。ヤムドク湖は氷河によるせき止め湖である。峠にはタルチョーがはためく。温暖化のせいで氷河は年々後退しているという。宿泊地の窓からチョモランマをはじめマカルーからシシャパンマまでの山々を一望にすることができた。中ネ国境は、中国側は道もきれいだしイミグレーションの施設も立派だが、ネパール側に入ると道は悪くなり、施設も貧弱だった。国力の違いを反映しているようだ。
村田文子氏
ルクラ~エベレストへの道
ゴラクシェプ5140mの最後の山小屋 ベースキャンプの手前で敗退
チベット側から見たチョモランマ
ヒマラヤの河川
中国青蔵鉄道でラサへ
更に中ネ公路をネパールへ
青蔵鉄道は5,000m越えの唐古拉峠を越えラサへ通ずる
9. あきる野市の植物 大森雄二氏 (秋川流域ジオの会)
講師の大森雄二氏について、ジオの会事務局長内山さんから次のような紹介がされました。「あきる野市の動植物の生育環境についての現状を調査しどう改善するかを提言する役割を担っている自然環境調査部会のメンバーであり、植物について大森さん、動物については内山さんが指名されている。大森さんは地域の植物について最も精通した人で、2023年に出された<レドリスト>の纏め人である。」
大森さんは、まずあきる野市に残る植物の調査報告や記録を丁寧に解説、その中で刈寄ウツギは1938年に発見されたあきる野を代表する植物である、と。以後、2011年「あきる野市植物目録」奥田重俊(横浜国大名誉教授)、2013年「あきる野市自然環境調査書」あきる野市自然環境調査部会編などを参照・まとめて2022年「あきる野市レッドリスト(植物)」 を完成させた、と述べられました。
あきる野市の植物記録は こちら
あきる野市レッドリスト(植物) はこちら
その後、写真入りのスライドを使ってあきる野市の植物たちを解説してくれました。
大森さんの植物に関する師匠は「大泉先生」、あきる野に移り住んで植物生態学の研究に打ち込んだ「鈴木由吉先生(故人)」、横浜国大の「奥田先生}などもスライドで紹介されました。
貴重な植物を守っていくのは、環境の観察・保全に留まらず大変な仕事でもあり、人による盗掘、草刈り、除草剤など、またシカやイノシシなどの動物による食害、石灰岩帯や湿地帯などの地質や環境の違い、又今夏のような猛暑や雨量の違いによる影響など、配慮しなけれはならないことは多いという。更に、例えばトリカブトのような毒草は保護しすぎて大量に増やしてしまうと、人が間違えて被害を受ける恐れもある、等々その苦労話も披露されました。
講演に使われた「あきる野市の植物」紹介スライドはこちら
講演する大森さん
あきる野市の植物に最も詳しい人
カリヨセウツギ
1938年 刈寄川で発見されたと報告されたあきる野を代表する植物、花はクリーム色から赤錦になる。
クリハラン
石灰岩地の深沢で見られる、絶滅危惧ⅠA類
クマガイソウ
広徳寺の裏に群生していたが、1990年代初めの頃に盗掘されてしまった。今は36株ほど。
絶滅危惧ⅠA類
ジャヤナギ
希少種で多摩川に1本ある、遠い昔日本にきたが長生きしない木だという。枝を切り挿し木で2世作りを試みている。絶滅危惧ⅠA類
8.野生動物との共存 ー足尾,秩父,五日市で撮影した映像を通してー 青谷知己氏(秋川流域ジオの会)
数年前まではシカを五日市で見ることはなかったが今は頻繁に見る。これが問題で、奥多摩や秩父の山ではシカのために下層植生が失われ裸地化が進んでいる。地学をやる前から山や自然が好きでワンダーフオーゲル部に入り山歩きをしていた。1980年代には自然保護にも関心があり全国学生自然保護連合では今日ここにおられる議員の辻さんに出会い今も付き合いが続く。カモシカ食害防護学生隊をつくって現場に行ったり、ツキノワの会をやりながら現在に至っている。野生動物は美しいし魅力的だ。共存の方策を考えたい。
1)足尾
足尾は地質的には秩父帯と同じジュラ紀付加帯の足尾帯が分布し層状チャートなどが見られる。そこに火成岩が貫入し、ホルンフェンスになった。硬く嶮しいため鉱毒で失われた植生は回復しにくく、裸地が多いため 野生動物がよく見える。ここで野生動物の観察会を年2回行っているが、これまでに86回になった。メンバーは10名くらいで会員は50名位いる。図は季節ごとの鹿の移動経路でを示したもの。春から夏に尾瀬沼にいたシカは冬は南下して足尾で過ごしている。そこで、捕獲されるようになり足尾ではシカは減った。クマはどこでも見られるわけではなく時期によって餌を採る場所が変わるからそこを狙って見つける。春はさかんに石を掘りアリ舐めをするし、秋にはズミの実やドングリを探している。
青谷知己氏
足尾銅山跡地
足尾での観察会
シカの移動経路 足尾が越冬地に
シカは食害で捕獲され減った
2)秩父浦山
浦山ダムが出来てから人口が激減。最近は廃集落をめぐるヘンな若者たちもいるが。ここはツキノワの会の拠点ツキノワ荘がある。定点3カ所にセンサーを設置して観察している。直ぐ横のイチョウの木には熊がギンナンを食べに来て黄色いフンをしていく。国有林が皆伐された後に、国有林事務所と掛け合って広葉樹の植林を認めてもらい2001年から植林を続けている。植えた栗には毎年クマ棚を作るようになった。我々が建てた金属の看板にはクマがじゃれついて匂い付け(?)をする。シカは激増している
浦山国有林 広葉樹を植林
カモシカ
クマの木登り
植えた広葉樹林にクマ棚
3)五日市
野生動物の山から人里への移動経路は、金比羅尾根から小中野辺りへ、深沢からグミの木峠を通って横沢入りへ、日の出白山神社の尾根などがあるようだ。グミの木峠ではカモシカに出会う。サルは集団で移動している。シカは身近に見られるようになった。三内川でクマの親子が捕殺されたのはショックだった。
人の生活圏と野生動物の生息域は完全にかぶっている。そうした認識を持つことが大事。ここ30年で著しく状況が変わった。中間山地から人が居なくなり、バリアがなくなった。結局バリアゾーンにおける人との力関係であり、人間活動が衰退したことが大きい。秋のクマはほとんどミズナラに依存しており、今後のナラ枯れの影響が心配だ。
アナグマ
イノシシ
五日市の動物の移動経路図
共生の為に
7.野の土を釉薬に使って出る色を楽しむジオ陶芸の話
鈴木肇氏・広藤明人氏(秋川流域ジオの会)
1)鈴木 肇 氏
どんな土でも陶器になるわけではない。普通の土は焼けば溶けてしまう。陶芸に適した土はカオリン。 カオリンは景徳鎮近くの高嶺(カオリン)から来ている。花崗岩の山で、礫→砂→泥と風化した土が湖などに溜まる。長石が化学風化してカナリナイトという粘土鉱物になる。 融点の違い 普通のカリ長石は1170度で溶け志野焼の釉薬になる カオリナイトの融点は1750度で、焼成温度の1250度では溶けず、焼きしまる。安山岩もカオリナイトができ陶土になるがモンモリロナイトの割合が高いと膨張収縮が大きく、使えない。多治見・瀬戸・信楽は3~2Maに中央構造線前弧スリバーの影響で古琵琶湖ができ、西へ移動した。この古琵琶湖層が陶土をもたらしている。
2) 広藤明人氏
五日市の土は1250度では溶けてしまい陶土にはならない。ならば釉薬としてなら使えるのではないか。五日市の青い粘土を塗り1250度で焼くと濁ったこげ茶色でぶつぶつの泡が出る。これを1100度で焼きなおすといろんな色が出た。もう一度1050度で焼くと泡は小さくなり色も変わった。鉄は「七化け」と言われ濃度や焼成環境で色が変わる。五日市の土は鉄分が多く陶器の表面に磁石がついたし、黒八丈という織物もあった。盆地内の粘土(湖成層?)は高尾天王沢や小机に分布するが南岸と北岸ではなぜか標高が違う。小机の街道沿いに青い粘土の露頭が出てびっくりした。青いのは鉄分が酸化していないからだ。鉄分の起源は五日市町層群だろうか? 2019年の台風後に小庄層の山ができ、時間がたつと粘土になった。3万年前に小庄層の山が崩壊して盆地全体に広がり泥の海になったのではないか。
福井県大飯町に行って蛇紋岩風化土を取ってきた。ここはオフィオライトが露出している。この土で焼いたら金色が出た。金色は磁鉄鉱の樹枝状結晶と思われる。マントルが冷える過程で結晶形成が進み蛇紋石もできる。陶器の表面には蛇紋石らしき部分もある。舞鶴帯の福井県大飯町の地質成分は鉄が多いが、埼玉秩父の三波川帯の蛇紋岩は磁性が弱いし風化土壌も少ない。貧しい蛇紋岩と金属リッチな蛇紋岩の違いはかんらん岩が蛇紋岩になり登って来る過程にあるらしい。
講演する 鈴木肇氏
熱演する 広藤明人氏
いろいろ試みられた作品たち
6.三宅島火山について考えたこと 吉村成公氏(秋川流域ジオの会会員)
1. 海岸の「断崖」はどうしてできる?
長太郎池の溶岩を観察して…中は緻密で下部は板状節理のようなものが見られる。上部と最下部はガサガサで弱い(クリンカーという)。溶岩は動いているので地面と接している下部は剪断力を受け板状節理のようになる。海岸まで達すると、下部クリンカーは波浪などで侵食されるので、やがて支えが無くなり重力による縦方向の剪断力で節理に沿って割れ落ち、断崖になる。千葉達朗は「トップリング(垂直に近い弱い節理面などが重力でたわみ、崩れていくこと)」と似ていると言っている
講演する吉村成公氏
吉村成公氏は、三宅島2000年大噴火の前に4年間教職として島に赴任していた
長太郎池溶岩流 底面付近に「板状節理」状のものができる。上下のクリンカーは冷えていく
下部クリンカーが波浪等でなくなると重力で節理に沿って割れ落ち崖になる
2.長太郎池西の「アンチデューン」露頭
この断崖には、「アンチデューン」と呼ばれる三角形の堆積構造が見られる。どのような順序で形成されたのかを考えて見たが、純粋なアンチデューンとは違うと思う。また、アンチデューンや平行葉理は、マグマ水蒸気爆発に伴って発生する希薄で猛烈な横風のベースサージで生じるという。更にこの露頭から発生源の火口(マール)を探ることにも考えをめぐらせてみた。
上図の丸で囲んだ部分を拡大して見ると三角形の横幅は4~5m。どんな順序で堆積したのだろうか?
デューン・アンチデューン・平滑床(平行葉理・層理) は、互いに移り変わりやすいように思われる。
アンチデューン堆積構造?
上の図丸部分の拡大
考えて見た堆積順
デューンとアンデューン
発生源の火口は何処か?
山澪・ココマノコシ・名称不明(?)
3. 玄武岩質マグマが起こす「噴火の種類」
(1)マグマ噴火…マグマが上昇すると圧力が下がるので栓を抜いたサイダーのように発泡し、地表
では爆発となるもの。
- ① ストロンボリ式噴火…間欠的で比較的穏やかな爆発を伴う噴火で、火山礫、火山弾が数百メートル程度の高さに達する噴火。
- ② 熔岩噴泉…割れ目から液体の溶岩がほとばしり出る噴火。流動性に富んだ溶岩が噴水のように空中高く噴き上げられる現象で、玄武岩質マグマの噴火では普通に見られ、高さ数100mにも達する。
※①② はどちらもスパッター,火山弾,スコリア,火山灰,溶岩流出を伴う。溶岩噴泉は爆発的。
- ③ 準プリニー式噴火…とても爆発的で、高く上がる噴煙柱と広範囲に降る火山灰が特徴。
- a.三宅島では、2000年8月18日の噴火が該当する。この噴火では14kmまで噴煙が上昇した。また、細粒火山灰・火山豆石・カリフラワー状火山弾の放出があった。→カルデラ底の下でマグマ水蒸気爆発が起きたと考えられている。
- b.プリニー式噴火と、ストロンボリ式噴火や熔岩噴泉等との、中間的な規模の噴火である。
- ④ プリニー式噴火…非常に爆発的。粘性の低い玄武岩マグマでは普通起こらないが、1707年の冨士山宝永噴火がこ れに該当する。
(2)水蒸気爆発…・マグマが地表に現れない噴火
マグマの熱で地下水が加熱され「熱水溜り」が地下にできていることがある。この「熱水溜り」の急減圧や加熱によって周辺とのバランスが崩れると、一挙に水蒸気となり体積膨張を起こして爆発することがある。このとき周囲の岩石を破砕し噴出するのが、この噴火。
- 三宅島では2000年噴火の初期(マグマの神津島方向への貫入後)に頻発。
- 7月15日の噴火が水蒸気爆発としては大きく、細粒火山灰を大量に噴出。
- 火山によって、噴出物量に大きな巾がある。
(3)マグマ水蒸気爆発…・水蒸気と共に、破砕されたマグマが地表に出る噴火
マグマが地下水や海水などと直接接触した場合、マグマの熱によって一挙に水蒸気になる際にマグマを破砕して噴火を起こすことがある。この場合、水蒸気噴火と異なり、噴出物中にマグマの破片が含まれる。
- マグマの熱が短時間に(瞬時)かつ一斉に水に移り、強大な爆発力を生み出している。
- 爆発力は強大で、爆発角礫岩・発泡の悪いスコリア・細粒火山灰・火山豆石等を生じる。しかし、マグマ噴火に比べ低温である。
- 三宅島では、8月29日の噴火がマグマ水蒸気爆発の大きなもので、爆発は、カルデラ底の地下で起こり、低温火砕流を伴った
三宅火山2000年8月18日噴火噴煙 1万4000mまで上昇
準プリニー式噴火 カルデラ底の下でマグマ水蒸気爆発
が起きた ( アジア航測・肉倉撮影 )
三宅火山2000年7月15日噴火 細粒火山灰大量
水蒸気爆発 マグマが地表に現れない噴火
(青谷知己氏 三宅高校、三池港より)
4. 新鼻新山の謎
新鼻新山は、スコリア丘の残丘でその断面が見えているが、次の疑問がある。
① 平行に近いスジが幾つも見える。これは何か?
② スコリア丘の中心近くだった所の下部は、ほぼ溶岩のように見える。しかし、中心から遠ざかるとスコリア層へと漸移している。これはなぜか?
③ 上の②のスコリア丘中心近くだった所の下部の溶岩にも、①のような平行に近いスジが幾つも見える。これは何か?
これらの疑問に対し、当時の噴火の写真等を見ていくことで、噴火の状況証拠が示された。
現在の新鼻新山は1983年の噴火で形成されたスコリア丘の一部で、新鼻新山のすぐ南がスコリア丘の中心(火口)である。また、マグマ水蒸気爆発で形成されたタフリングの北部が、このスコリア丘と重なっている。これらのことは、[赤色立体図 と 遠藤邦彦・ほか,1984]を基に示すことができる。また、これらスコリア丘とタフリングの形成の様子を、当時の新澪池や新鼻付近の噴火の時間経過を示す写真や、噴火終了直後の写真等から追うことができた。
これらのことを基に、謎解きとして次の考えが発表された。
① 現在の新鼻新山の西側では、1983年の噴火当時、溶岩噴泉が起こった。また、これに少し遅れて、新鼻新山沖ではマグマ水蒸気爆発が何回も起こり、背の低いリング状の火砕丘(ベースサージによる堆積物)ができていった。溶岩噴泉が元になって、新鼻新山のすぐ南の特に噴出の強い所を中心に、スコリア丘の様なものを形成していったが、このスコリアの堆積中、間欠的にマグマ水蒸気爆発が起こり、多数のベースサージ堆積物がスコリア丘内部に平行層理(平行に近いスジ)となって残された。
② また、スコリア丘の中心近くでは降下した溶岩噴泉が溶結し、溶岩を再形成した。しかし中心から離れるにつれ、溶結が弱くなり、溶岩からスコリアへの漸移的な変化が見られることになった。
③ スコリア丘形成中、そのすぐ南ではマグマ水蒸気爆発が何回も起こり、周りにベースサージ堆積物が繰り返し挟まれていった。熔岩噴泉から落ちてきて溶結する火砕物の間にも、ベースサージ堆積物が繰り返し挟まれていった。
新鼻新山 溶岩とともに崩落しつつあるスコリアの塊
マグマ水蒸気爆発による火山ガスと火山灰を含む希薄な横殴りの烈風(ベースサージ)が、平行層理をもつ堆積物を形成
荒々しく見える新鼻新山の西壁、冬の北西の強風によるものか
5.各地で拾った石ころたち 山田昌広氏(秋川流域ジオの会会員)
40代後半から城郭をめぐるようになった。現在までに日本各地の山城2000城登頂を達成し、3000城を目指している。
2020年頃より石ころに興味がわき高橋直樹氏の『石ころ博士入門』に感銘を受けた。渡辺一夫氏の『日本の石ころ標本箱』『海辺の石ころ図鑑』に掲載される200か所を目指し、現在までに160か所を達成、残り40か所。城めぐりの前か後に近くの海岸や 川原に立ち寄り石ころの採取もしている。
今回は北海道から九州までの8か所の石を持ってきた。
山梨県大月市桂川の川原には安山岩、石灰岩、ホルンフェルスの他にセラドン石があった。丹沢起源の凝灰岩が変質した緑色の石。
秋田県大館市米代川の川原は大湯環状列石の近く。チャートや凝灰岩、軽石もあった。ここは変な色の石が多い。
長野県大鹿村鹿塩川の中央構造線北川露頭の近くでは断層にもまれて石英や長石がレンズ状につぶされ流動的になったようなマイロナイトが見つかる。これを拾ったことで石拾いにハマった。
島根県松江市桂島の海岸では玄武岩の岩床の中にメノウが見つかる。
北海道様似町エンルム岬の海岸はプレート衝突によってマントルが地上に現れた場所。かんらん岩が多い。
熊本県天草市苓北町白岩埼の海岸にはリソイダイトがある。ほとんど斑晶のない流紋岩で、電気石を含むものもある。
各々の紹介(写真や採集地など)の資料はこちら
演者 山田昌広氏
今回紹介された石ころ採取地 川べり4カ所 海岸4カ所
各々の場所で集められた石たち きれいな写真と現物で紹介され、現物に触りながら説明を聴くことができた。
4.水辺林の話 小泉武栄氏(秋川流域ジオの会)
山地の水辺には、サワグルミやシオジ、カツラ、トチノキなど沢筋に特有な植物が生育している。これらの植物は湿った場所が好きだからそういう場所に育つのだと考えられてきた。が、近年になって好きだからではなく、樹木を根こそぎにしてしまうような攪乱が大事なのではないか、と考えられるようになってきた。それは....
小泉研究室では1985年頃から「三頭山の森林の成立に関する地形地質学的研究」を始めていた。岩石の種類と風化の違いなどで斜面の形や土壌の違いが起こり、それらが森林分布にどのように関係しているかダイナミックに捉えようと考えた。従来地形は、傾斜、向き、高さを持った板のようなもので、ダイナミックに変化するという考えがなかった。そこで、谷筋や河原の植生、及び地質と森林分布の関係を調べ1980年に報告を出した。更にブナ沢の河床におけるシオジとサワグルミの棲み分けの調査を始めた。(赤松直子氏の卒論テーマ)
ところが、1991.08.20 400mmの集中豪雨が三頭山を襲い、ブナ沢のシオジ、サワグルミが大量に抜け流木になってしまった。
豪雨後に、低木層と高木層に分けて被害の状況を詳細に調査、1994年に報告した。(サワ筋崩壊の前後の詳細なデータが取れたのはおそらく世界初)
・高木層では、 下流域でシオジの多数が流木に、サワグルミは被害が小
・低木層では、 沢出口付近のシオジはほとんど流出、中流部のサワグルミの低木は残った。
これらの結果から(1994年の報告書及び生態学会での発表(赤松・青木))
1.従来は、沢の堆積物の違いが2つの植生の棲み分けを起こしていると考えられてきたが、(堆積物の違いは)
それ以前の崩壊や土石流によるもので、崩壊の重要性が高い、という説が認識(一般化)されるようになったと
思われる。
2.同業の崎尾均氏(静岡大理学研究科出身・埼玉県秩父農林振興センターから新潟大の演習林の教授)の著作
「水辺の樹木誌」2017年などにおいても、
① サワグルミやカズラは、まれに生ずる大規模な攪乱により更新
② シオジは、大~小規模の攪乱に対応して更新
等の見解が示されている。
<まとめ> 当初は、シオジやサワグルミ、カツラなどは各々の樹種に適した立地の同じ場所で繰り返し更新していると考えられていたが、今では渓流周辺の土石流や山腹崩壊などの自然攪乱が影響している、と考えられるようになった。
小泉武栄氏(東京学芸大学名誉教授・秋川流域ジオの会々員)
サワグルミとシオジ の見分け方(セブン:シオジ/イレブン:サワグルミ)
サワグルミの葉(Googleより)
シオジの葉(Googleより)
3.関東山地東麓付近の地形と地質 角田清美氏(秋川流域ジオの会)
関東山地はどこか、から始まって、関東山地東麓の地形面がどう形成されてきたかを豊富なデータを駆使して説明された講演でした。
主なテーマは、海面変化曲線と時代区分について、花崗閃緑岩の礫分布から昔の多摩川や海岸線を復元する試み。牟礼の丘や等々力渓谷を作る谷沢川の調査から得られた下末吉面の復元。武蔵野台地の武蔵野面や立川面の段丘区分をどう考えるか。立川断層はあるのか。関東大震災による西多摩地区の被害状況、などでした。
地形面の変遷を説明されたスライドを こちらに掲載 します。印刷してじっくり眺めてみると、関東山地東麓の地形面の意味を確認できるかと思います。
ジオの会での上総層群研究チームにも大いに参考になる内容でした。最後に、角田さんがどうして地形研究に取り組むのかということについて、「土地の成り立ちを理解し、自然災害に備えるため」と語られたのが印象的でした。(青谷記)
2.上総層群の化石 長岡 徹 氏(秋川流域ジオの会)
多摩川沿いの加住層、小宮層、福島層、小山田層、連光寺層、飯室層、浅川沿いの寺田層、大矢部層、平山層、恩方層から化石が産出する。上総層群と新第三紀の五日市町層群との決定的な違いは哺乳類の産出が多いことだ。小泉明裕氏は層序表の各層にそれぞれから産出する哺乳類を書き込んでいる。植物も多くの葉や球果が出ている。どうしても種のわからない葉が採れたが、現生のヤマガシュウにたまたま出会い、葉の形も葉脈も全く同じだとわかった。
足跡化石も多彩で、ゾウの足跡も多いが、一定方向に並んでいないと足跡とは認められない。
魚類ではウシバナトビエイの歯は良く出る。ニシン目の全身の骨や大きな脊椎も出た。この脊椎は2cmもあり、現生では大きなタイのような魚だと思う。二枚貝も多彩だが、この大きなアカガイはもろく、ばらばらだったのを安藤さんがみごとにつなぎ合わせて復元した。こうして長年化石を採っていると、海生の貝などが出る西限が分かってきた。それで、当時の海岸線を復元してみた。
アケボノゾウ臼歯化石の発見から取り出し、レプリカの作成までの過程を紹介する。最初は川床にわずかに歯が見え、まず、その外側に堰を築いて水が来ないようにした。次に歯のまわりに他の部分が無いかを確認する。切歯(キバ)などを伴うことが多いからだ。臼歯や顎骨を含む岩塊を大きく取り出し、ある程度クリーニングした段階でレプリカを作り、産状標本を作製した。取り出した臼歯は上顎第1臼歯と第2臼歯だった。
1.五日市町層群の化石 内山孝男氏(秋川流域ジオの会)
「五日市町層群の堆積環境と産出化石の多様性の変化」( 松川・伊東・田野倉)の論文では、五日市町層群の古水深を推定し、小庄層下部で浅く、小庄層上部で準深海となり、舘谷層上部でもっとも深く、横沢層以降は順次浅くなるとしている。また、横沢層は火山灰を含み、生物の生息に適した環境ではなかった。このため貝などの大型化石を産出するのは、主に小庄層と舘谷層で、浅海環境だった小庄層下部時代に種の多様性がもっとも高かった。
五日市町層群から産出する軟体動物群は知多半島南部中新世師崎層群の生物相を研究したShikama & Kase 1976(*1)の言う「トクナガソデガイ動物群」と思われる。「トクナガソデガイ動物群」は、やや深い水深に生息するトクナガソデガイやイネルミススミゾメガイ、チタニアケビガイ、チタスナモグリなど、及び、浅い水深に生息するイシカゲガイ属、サクラガイの仲間、タマガイの仲間などに二分してとらえることができる。
(*1) Molluscan Fauna of the Miocene Morozaki Group in the Southern part of Chita Peninsula, Aichi Prefecture,Japan by Tokio SHIKAMA & Tomoki KASE (原文英語)
内山・鈴木(秋川流域ジオの会) による訳文はこちら
2024年度学習会・講演会
<終了しました>
参加者募集中!「地学講演会’25」申込み不要、直接会場へ。資料代¥500
学習会は、毎月第4土曜日午後2時より秋川流域ジオの会全体会の会場で行われます。
どなたでも参加でき申込み不要です。参加費は¥300です。(会員は無料)
会場は主に五日市交流センター2階会議室ですが、変更になることがありますので、ご確認下さい。
12.ジオ講演会 笠間友博氏 「火山灰の世界」ーフィールドと実験ー
11.池田美智子氏 上総層群を探る
10.御手洗望氏 多摩川の野鳥
9.吉村成公氏 隕石と地球
8.桜澤祐樹氏 なぜ東京山側探究型自然学習が都市と地方の課題を解決し、四方、五方良しのサステナブルな地域が作れるのか
7.村田文子氏 フィリピン海プレートの軌跡から丹沢ストーリーを考える
6.石井弘好氏 モンゴル大地の地質聞きかじり
5.小泉武栄氏 房総半島の地理と古代史
4.鈴木肇 氏 地質図の見かた
3.内山孝男氏 五日市町層群の部層名について
2.中部嘉和氏 子どもたちに大地について何を伝えたいか
1.青谷知己氏 三宅島2000年噴火と火山巡検報告
ジオ講演会「火山灰の世界-フィールドと実験-」
笠間友博氏 (箱根ジオパーク推進室 専門員・事務局次長)
2025年3月1日(土)に五日市交流センターまほろばホールにおいて、ジオ講演会を実施した。参加者は、63名(一般30名、会員33名)。
(1) 箱根火山の形成史と概要
- 箱根は火山の集合体:従来の考え方では、富士山のような単独の大型火山が巨大噴火を起こしカルデラを形成したとされていた。しかし現在は、小型の成層火山群が噴火を重ね、外輪山を形成したという新しい見解が受け入れられている。
- 地質構造:箱根地域は北西-南東方向に構造的な裂け目が多く、噴火が起こりやすい地形が特徴。カルデラ内の火口丘もこの方向に並ぶ傾向である。
- カルデラ形成の過程:カルデラは単一の爆発で形成されたものではなく、複数回の巨大噴火によって地形が崩れ広がった結果形成された。
- 活断層の存在:南の丹那断層と北の平山断層が箱根火山を通過している。丹那断層は1930年の北伊豆地震を引き起こし、工事中の丹那トンネルをずらしたことで知られている。カルデラ内では地温が高く割れにくいため、断層の明瞭さが薄れるが2つの断層は続いており箱根火山を串刺しいている。
- 火山扇状地:カルデラ内には神山火山の崩壊による扇状地が2つ存在する。箱根火山鉄道の終点・強羅付近と、姥子から仙石原にかけての地域である。
講師 笠間友博氏
箱根火山地質図 日本地質学会2007 北西ー南東方向に噴火しやすい
カルデラの形成 何回もの爆発
南北からの活断層 丹那・平山断層
(2) 火山灰層と関東ローム層
- 噴火規模の特徴:箱根火山の噴火規模は大規模ではないものの、国内的には影響力のあるレベルである。
- 地層の年代決定:海水面の変動による不整合面が寒冷期に対応し、地層の年代が特定される。
- 火山灰層の研究成果:200以上の火山灰層(テフラ層)が特定され、ほぼ全てが箱根火山からの噴出物である。
- 関東ローム層の特殊性:地形や段丘ごとにローム層を区分し命名する独特の方法が用いられる。
- 特徴的な堆積物:二子山の火砕流堆積物には、大小様々な角張った礫が含まれている。(雲仙普賢岳の溶岩ドーム崩壊型)。 また風化による色の変化や酸化による赤色酸化が観察される。
箱根火山の噴火規模
テフラ層(火山灰)
(3) 火山実験と普及活動
- 色チョーク実験、水風船実験、気体噴煙実験、アルコール爆破実験、廃油実験など、様々な実験を通して、噴煙柱、火砕流、溶岩ドームなどの火山現象を再現し、可視化している。
- これらの実験は、火山現象の理解を深めるだけでなく、普及活動にも活用されている。
(4) 箱根ジオパークとジオパークの現状
- 箱根ジオパークは2012年に認定され、その後再認定された。
- ユネスコのプログラム化に伴い、SDGsの要素が取り入れられ、ジオパークの活動内容が変化している。特に川での活動が石の観察からゴミ拾いにシフトするなど、取り組み内容が多様化。
- 化石や鉱物などの販売に関する規制が強化され、教育の現場における標本の重要性を問う議論を招いている。
- ジオパークの活動に、漁協や石材業などの地域産業も取り込んでいる。
- ユネスコの方針により、無形遺産などの整備も行われている。
秋川流域ジオの会 地学講演会 講師「笠間友博 氏」 どなたでも参加できます<終了>
於:五日市交流センター
日時;2025.03.01(土) 14:00~
友達を誘う場合はこちらをダウンロードして印刷、お渡し下さい
問合せはこちら からメールでどうぞ
2023年度学習会・講演会
10.2024.03.09 ジオ講演会「石ころの魅力」 高橋直樹氏(千葉県立中央博物館上席研究員)
9.2023.12.23 秋川の石チーム調査研究発表 秋川の石チーム(秋川流域ジオの会)
8. 2023.11.25 奥多摩の植物(この50年で少なくなった植物や植生の変化) 大森雄二氏(秋川流域ジオの会)
7. 2023.10.28 黒瀬川帯研究その後 鈴木肇 氏 (秋川流域ジオの会)
6.2023.09.23 アケボノゾウ臼歯化石 長岡徹 氏(秋川流域ジオの会)
5.2023.08.26 北海道色積半島で考えたこと 小泉武栄氏(東京学芸大学名誉教授・秋川流域ジオの会)
4.2023.07.22 五日市盆地の謎の石とは 廣藤明人氏(秋川流域ジオの会
3.2023.06.24 神奈川の地質地形 エリア別のジオポイント紹介 村田文子氏(秋川流域ジオの会)
2.2023.05.27 府中市浅間山の生い立ち 青谷友己氏(秋川流域ジオの会)
1.2023.04.22 多摩地域のトウキョウサンショウオ 御手洗望氏 (秋川流域ジオの会)
講演会「石ころの魅力」
3月9日(土)13:30~16:00 <終了しました>
講 師 :高 橋直 樹 氏 (千葉県立中央博物館 上 席研究員)
2023年度の外部講師を招いての講演会は、高橋直樹先生をお招きし「石」についての
お話をおうかがいします。河原の石はその地域のジオの特性を顕著に示すと言います。
どなたでも参加できます。当日会場に直接お越し下さい。
2022年度学習会・講演会
12. 2023年02月23日 講演会「再訪ー黒瀬川帯の意義」 参加者86名
久田健一郎氏(元筑波大学教授)<終了しました>
11. 2023年01月28日 「秋川流域に残る道切りの行事やしるし」参加者33名
大澤夕希子氏(秋川流域ジオの会々員)
10. 2022年12月24日 「図から読み解く新第三系研究の進展」
内山孝男氏(秋川流域ジオの会会長)
9.2022年11月26日「野鳥の春夏秋冬」
新井悦子氏(日本野鳥の会会員 秋川流域ジオの会会員)
8. 2022年10月22日「四国の黒瀬川帯を訪ねてー関東山地との比較」
青谷知己氏 (秋川流域ジオの会副会長)
7. 2022年9月24日 「東京西郊丘陵地帯にヒメハナカミキリがいない理由」
武智昭一氏(Pidonia 懇談会会員 秋川流域ジオの会会員)
6. 2022年8月27日 「地域問題解決のみをする関係業としてー現役世代が考える市民活動の継続循環」
宮入正陽氏(一般社団法人Fouth Wellness代表 秋川流域ジオの会会員)
5. 2022年7月23日 「ヒマラヤの地質構造と先行河川」参加者 23名
鈴木肇氏(秋川流域ジオの会会員)
4.2022年6月25日 「秋川流域ジオ情報室の展示物解説」参加者 会員
パネルと岩石試料 青谷知己氏(秋川流域ジオの会副会長)
化石と石材 内山孝男氏(秋川流域ジオの会会長)
3.2022年5月28日 「山の自然学への招待」
小泉 武栄氏(東京学芸大学名誉教授・秋川流域ジオの会々員)参加者 会員23名
2.2022年4月23日 「奥多摩のはやぶさと地学 」
御手洗 望氏 奥多摩クマタカ調査チーム・秋川流ジオの会会員 参加者 会員30名
1.2022年3月26日 「小仏層群(四万十帯を追いかけて)」
坂田武平氏 (小仏層群研究者) 参加者 会員30名
ジオ講演会 「五日市再訪ー黒瀬川帯の意義」
久田健一郎氏(元筑波大学教授)
久田先生は、「東京都奥多摩地域の地質」図を2013年に出した時の中心の先生で奥多摩・あきる野に馴染みが深い。日の出にある水口層や黒瀬川帯の研究に長年携わってきた。それでも黒瀬川帯は難しい、未解決の課題が多いという。日本列島の形成を考える上で黒瀬川の存在が鍵になるからだという。その課題とは、
1) 付加帯で構成されている秩父帯を、北部秩父帯と南部秩父帯に割ってその中に黒瀬川帯という断層がある。 2) 黒瀬川帯を構成する岩石は下図に示すように秩父帯は中生代ジュラ紀、黒瀬川帯は古生代オルドビス紀~デポン記のもので時代が違う岩石である。3) 更に、秩父帯は海の底でできたチャートや石灰岩などの付加帯であるが、黒瀬川帯には大陸由来の岩石( 三滝火成岩類、寺野変成岩類)、更に 暖かく浅い海で生きていたサンゴの化石(ハチノスサンゴ) なども見つかっている。4) また、蛇紋岩(マントルを構成するかんらん岩が水に触れて蛇紋岩になる)は地表にどのように上がってきたのか?など謎が多い。
黒瀬川帯は、どのようにしてできたのか。1) については、a)衝上説 遠くに有った地質帯が秩父帯の上に乗り上げた(黒瀬川クリッペ);水平な断層説。 b)一列に有った付加帯がそれを緩い角度で横切る中央構造線の大規模左横ずれ運動で2列になった ;傾斜した断層説。 また 2) 3) 大陸由来の岩石はどのような旅をしてきたのか 4)蛇紋岩はどのようなメカニズムで上がってきたか。
久田先生は、蛇紋岩を構成する重鉱物クロムスピネルを長年にわたって調査追求してきたが、未だ明確な説の確立に至っていないと、その難しさに言及した。
講演後、当日の聴講者の中の専門家 藤岡換太郎氏も交えた交流会を行い、黒瀬川帯の意義についての関心は大いに高まった。
<後日談> 後日(4月22日)久田先生の追加・補稿のペーパが届き、全体会で公開された。こちらを参照
ジオ講演会 黒瀬川帯の意義 講演する久田先生
年1回行うジオ講演会、今年は五日市に馴染みの元筑波大学教授久田健一郎先生を迎えて、2023年2月23日に五日市交流センター3階まほろばで実施した。
秩父帯と黒瀬川帯の岩石年代の違い
日本列島の骨格をつくった付加体の多くはおよそ2億年前にできた。それとは異なる岩石が西予市で見つかっています。
(出典:四国西予ジオパークHPより
三滝火成岩
模式地: 愛媛県 西予市 城川町 窪野 - 三滝山
オルドビス紀(約4億年前)
(出典:四国西予ジオ 野外観察より)
秩父帯と黒瀬川帯の関係
日本列島の基本的地質構造は、中央構造線を境として内帯と外帯に区分されているが、内帯の美濃・丹波帯と外帯の秩父帯は共にジュラ紀付加帯である。これは付加帯の出来方(チャート砕屑岩シーケンス)だけでは上手く説明できない。上図は衝上説、下図は横ずれ説。中央構造線の大規模左横ずれ運動で2列になった?
(出典:東京奥多摩地域の地質より)
講演会後の交流会にに集まった先生とメンバー達
交流会では、関連の質問が多数出され藤岡先生も含めそれぞれの意見が述べられた。また、先生が定年後に進めている地学教育やジオガイド人材の育成の他、日本酒の仕込水と地質との関係の研究などの話題で盛り上がった。
(撮影:内山孝男氏)
「秋川流域に残る道切りの行事やしるし」
大澤夕希子氏(秋川流域ジオの会々員)
科学的な知識が無かった昔の人達は、はやり病の恐怖にどのように対応してきたのだろうか、新型コロナ禍の中で考える。 感染症は、都市化やグローバル化で今も被害は拡大している。
疫病は、疾疫(えのやまひ)として恐れられ、「もののけ、悪霊、悪鬼、魔物」更には怨霊の祟りと考えられてきた。そして疫病神が病気をもたらすという信仰になった。疾疫(えのやまひ)に対抗するためには、進入を防ぐ儀礼としてムラ境での「道切り」、門口の「幣束」や軒先の護符、更に鎮めて送り出す「神送り」などがある。又国家や庶民レベルでは、伽藍の建立、大仏造営、加持祈祷・祭り、お祓い、お経等々が行われてきた。 疫病の災いを免れるためには、 ムラ全体でその防除にあたることが何よりも重要だった。
疫病を司るスーパースター 牛頭天王
牛頭天王は疫病からムラを守る社として各村にあったが、神仏分離令で消されてしまい、今ではスサノオを祭神とする神社、八雲神社や八坂神社になった。それでも天王の名は各地に残った。
八王子とは、牛頭天王の8人の王子のこと
各地にある「八王子」という地名も牛頭天王の8人の王子に由来する。
祇園祭も牛頭天王の祭り。春から夏にかけて疫病が蔓延することが多く牛頭天王の祭神をまつる京都祗園御霊会が盛んとなった。
フセギ・道切り
ムラに疫神や悪霊などが入ってこないように行う行事。村境に悪霊防御の印を置く。青梅ではフセギのわらじ。(東京都無形民俗文化財)
三内のフセギ・道切り
小机・三内地区には図のように村境にいくつものフセギが置かれている。
養沢のフセギ・道切り
養沢ではムラの入口2カ所に今でも幣束が置かれる。毎年年番さんに申し送られ、お札と幣束は、宮司さんから年番の人 が直接もらって行っているという。
「図から読み解く新第三系研究の進展」
内山孝男氏(秋川流域ジオの会々長)
「新第三系研究の進展」は、日本地質学会2008『日本地方地質誌3関東』のうち、新第三系についての総論にあたる部分である。有志16名でこの輪読学習会を17回にわたって行った。本発表はその要約である。
テキストの主要な論点の一つは東北日本の南限としての「利根川構造線」。利根川中流低地に沿って、南側の基盤に巨大な落ち込みが存在することや、構造線の南側にあたる船橋や成田の地下に三波川結晶片岩があり、そこまでは西南日本と考えられることなどをその根拠としている。テキストは、この断層に沿って東北日本側が大きく右にズレたとしている。
もう一つは「ハーフグラーベン」。両島弧が観音開きしながら移動する際に関東地方に大きな引張応力がかかり、断層の一方がずり下がる半地溝が形成され、秩父盆地や五日市盆地の新第三系を溜める堆積盆になったとする。
参加メンバー 上写真+6名
東北日本の南限は利根川構造線とする(図はウキベデアより)
一方で東北日本の南限は棚倉構造線であるとう説もある(中央構造線博物館より)
日本列島が大陸から観音開きしてできた頃その引ぱり力で半地溝ができた(図は産総研HPより)
比企・岩殿丘陵・秩父盆地や五日市盆地等は崩壊堆積物が半地溝を埋めて複雑な地下構造をつくった(産総研HPより)
「野鳥の春夏秋冬」
新井悦子氏(日本野鳥の会会員 秋川流域ジオの会会員)
サシバは、 タカ目タカ科サシバ属で環境省の絶滅危惧種Ⅱ類(VU)、東京都では絶滅危惧1A類(CR)で何かあったら野生絶滅が近い将来訪れる危険のある種。
生活環境は、田んぼや畑があり近くに丘陵地が広がる里山地域。エサは主にヘビ、トカゲ、カエルなどで、夏になり巣立った幼鳥は大型昆虫を獲っている姿を
見かけます。
サシバ
田んぼや畑が広がる風景は私たちが住む西多摩地域にはまだ多く残っていますが除草剤や農薬を使った農地には昆虫やカエルなどが棲めません。農耕地で爬虫類やカエルが多く生息する環境が東京都では激減していることなどからサシバの数が減ったと推測されます。
栃木県市貝市では地域の農家と連携しサシバが生活しやすい環境を町ぐるみで作っています。
渡りには上昇気流を利用
毎年9月下旬~10月上旬にかけて多くのサシバが南へ向かって渡って行きます。
環境が良ければ定着する個体もあるといわれ、
五日市では横沢入里山保全地域があり、あのような環境が理想的です。繁殖期にも見かけるようになってきて、数はまだまだ少ないですが西多摩で定着してくれる個体もいます。遠く旅をしてきてピンポイントで戻ってくるサシバにはいつも驚かせられます。
青梅市梅郷梅の公園
日本野鳥の会奥多摩支部では1998年より青梅市梅郷「梅の公園」にてサシバの渡りカウントを行っています。2022年秋期のデータでは梅の公園で1487羽をカウントしました。
多く渡る日は7時台から見ることができますが、多くは7時頃現地を飛び立ち関東平野を数時間かけて渡ってくるので11時頃からまとまった数が見られます。(時系列参照)
タカの渡りの観察(梅の公園・羽村市)では、
2022年サシバ2166羽、ハチクマ39羽、ノスリ40羽
がカウントされています。
サシバのカウントを終了して10月中旬頃になると一番早く姿を見せてくれるのがジョウビタキです。「ヒッヒッヒッ」という声を聴くと季節が変わったことを感じさせてくれる野鳥です。
四国の黒瀬川帯を訪ねてー関東山地との比較
青谷知己氏 (秋川流域ジオの会副会長)
2022年5月に四国の主に西予ジオパークを訪れた。西予ジオパークは西予市全体を含むエリアにある。四国には下図に示すように五日市盆地や秩父地方にある地質がすべてあり、四国を北から南に縦断することでそれらの地層を見ることができる。特に秩父帯・黒瀬川帯をメインにしているジオパークは日本の中でここだけ。ここを詳しく見ることで秋川流域の地質との対応を考えたい。
四国の地質図
南から四万十帯(付加帯)、仏像構造線、秩父帯(付加帯)、その中に黒瀬川帯(K)、御荷鉾構造線(M)、三波川帯(変成岩)、和泉層群、領家帯である。(四国地質調査業協会HPから引用 )
四国の地質4つのでき方
海洋プレートの動きに伴う、付加帯、高圧変成岩、高温変成岩、前弧海盆にできる浅海成層のすべてを見ることができる。(産総研 2018年 > 四国に残された日本列島5億年の歴史より)
黒瀬川帯のサンゴ化石
黒瀬川沿いの嘉喜尾(カギオ)地区は黒瀬川帯の模試地でハチノスサンゴ・クサリサンゴなど4億年以上前のシルル紀の絶滅種化石が発見されている。
4億年前の凝灰岩
西予市の西にある須崎海岸にそびえ立つ凝灰岩、海底に積もった火山灰が固まり横からの強い圧力で褶曲し立ち上がった。
鳥の巣石灰岩の分布地
北海道から九州まで太平洋側に分布するジュラ紀後期から白亜紀前期の地層にある石灰岩。暗灰色、強打すると石油臭がする。模式地は高知県佐川町鳥巣。
南東方向から見た石鎚山
頂上付近は安山岩系花崗岩、中新世の火山活動の山、現在四国には火山はない。コールドロン(カルデラ)という。向い合う山はなだらかな瓶ヶ森。
中央構造線露頭と演者
丹原町湯谷口付近の露頭と演者。ここには和泉層群(7千万前)が三波川帯結晶片岩(1億年前)の上に底角で乗り上げた重畳断層が見られる。
四国の地質のまとめ
上図「四国の地質4つのでき方」を参照。各々の地層ができた年代の関係性と秋川流域の地層との関連も示した。
巡検ルートのまとめ
四国の地質図の全体概要を示した。
(産総研 2018年 > 四国に残された日本列島5億年の歴史より)
<番外編>鹿浦超(かぶらこし)のランプロファイア
香川県東かがわ市にある国指定天然記念物。白色の花崗岩に節理ができたときに黒色のランプロファイア(煌斑岩:こうはんがん)が入り込んで見事な縞模様ができた。
東京西郊丘陵地帯にヒメハナカミキリがいない理由
武智昭一氏(Pidonia 懇談会会員 秋川流域ジオの会会員)
講演の武智氏は右、左は紹介者の筒井氏でカミキリムシを追い40年以上のつきあい。2人が追跡したモリセスジとサトセスジの分布はこちら(次項も参照)。
地球の生き物の6割以上は昆虫で新種の進化が速い。武智氏が発見した新種の学名は「Pinonia Takechii」
ハナカミキリムシはカミキリムシ(日本産全958種)のなかまでおよそ17属50種。上図黒丸は西多摩にもいる太平洋斜面タイプ、赤丸は日本海斜面タイプ。
東京西郊の生息域3丘陵(羽生,加住,川口)と不在域4丘陵(草花,加治,狭山,多摩)の違いは何か?
成虫は森林の縁などに生息、暑さや乾きに弱い。幼虫は枯れ木や倒木の樹皮下を食べている。(次図参照)たっぶりの水分が必要。これらの条件を満たす所として、東京西郊外では・・・・
1.新第3紀中新世以前の基盤岩である五日市町層群・小仏層群の丘陵に生息
2.第4紀更新世の丘陵(ローム層+砂礫層)にはいない。(乾燥)
3.ただ加住丘陵では土壌に水分のある所、基盤岩露出部・丘陵脚氾濫原・基盤岩が浅い谷地川源流などには生息。
4.その他孤立的生息地として滝山丘陵の水分のある所、河川回廊で飛来可能な所などがある。
地域問題解決のみをする関係業として
〜現役世代が考える市民活動の継続循環
宮入正陽氏(一般社団法人Fouth Wellness代表 秋川流域ジオの会会員)
今あきる野で注目のFouth Wellness
メンバー達、左から2人目が代表の宮入正陽氏。
自然環境の中で育った子どもは、強い自我と判断力を育むことに注目し、移住地あきる野で「探究型自然学習スクール」を開設・プロデュースする。今では年間1万人の子ども達を集め、その半数がリピータになるという。その面倒を見る先生方は地元で各々の仕事に長けたプロ達。(写真は、街プレ西多摩版より借用 https://machipre.net/ )
地域の困り事解決プロジェクト
宮入氏は元々M&Aなど経営の助っ人。あきる野は安全な自然の中で安心の子育てができる一方、伝統の農業を続けるのが難しいお年寄り世帯もある。今ではこうした耕作放棄地を1万坪以上も借り管理するが、農作業は想像以上に大変。メンバーでグループを作り「手間返し:結い」の仕組みを入れ、苦しい作業も皆でやる楽しみにもする。借りた田んぼで収益を上げて、若者にここで暮らせるという安心の基盤も提供していくという。林業にも関心。
秋川流域ジオや横沢入ボランティアは地域の宝
好景気時代を活き高い教養を培ったお年寄り達が、今地域の自然を生かしその宝物を磨く活動やボランティアをしている。地域を支えるのは名もない手弁当の市民だ。しかしやがては歳をとる。今を生きる若者達は今のままでその価値を受け入れ理解することができるのか?受け継ぐ若者達をプロデュースする、循環する市民活動を作り出すことも、宮入の仕事なのだ、と。
ヒマラヤの地質構造と先行河川
鈴木肇(秋川流域ジオの会会員)
ヒマラヤトクチェ山
標高6920m 手前の斜面で雪崩が起きた。
ネパールにはヒマラヤ山脈を貫通して流れる川が何本かある。その中で私たちが行ったカリガンダキ川を紹介する。
2つの大陸がぶつかった
超大陸パンゲアが分裂し巨大な入江のテチス海を伴ってインド大陸はユーラシア大陸に合体。テチス海に生息していたアンモナイトの化石はヒマラヤの山頂にある。ガンジスの支流ヤルツアンポ川はインダス・ツアンポ縫合帯に沿ってヒマラヤの北側を大きく東に回り込んでインド洋に出る。
ヒマラヤの地層構造
大雑把に4つ、緑部は非変成層でテチス海堆積物がそのまま押し上げられた。ピンク部は変成岩層でMCT(ヒマラヤ中央断層に近い程変成度が高い。オレンジ部はヒマラヤ変成岩層とインドの古い堆積岩が混在。黄色部はヒマラヤから川が運んだ砂礫層。
ヒマラヤの地層構造についてはこちらも参照
カリガンダキ川の深い谷
片麻岩などの硬い岩石で川は下刻侵食を行い谷は極端に深くなる。また、ヒマラヤはアイソスタシーの原理で侵食で削られた分の1/2分が上昇し高くなるという。
周辺では、様々な変成岩・摺落ちで褶曲した地層、リップルマークなど
豊富な露頭が見られる。また河口慧海の記念館なども大切に守られている。
「秋川流域ジオ情報室の展示物解説」
パネルと岩石試料 青谷知己氏(秋川流域ジオの会副会長)
秋川流域の地質をどうとらえるかというテーマで次のような確認を行いました。
①ジオパンフは,時代ごとの解説をしているのが特徴であること。
②地質図を見ると,秩父帯と四万十帯の違いが明確で,その境界としての仏像構造線に注目したい。
③特異な黒瀬川帯の存在がこの地域として貴重である。
④秋川流域というサイズで多様な地質・地形に恵まれていて、その多様性は,赤色立体図でも見て取れること。
また、現在の展示パネルは,8年間の研究の過程で見直す部分が出てきていることを例示して、時代区分で再編する方向で確認しました。
地層図の前で説明する青谷副会長と聞き入る会員1
説明する青谷副会長と熱心に聞く会員2
化石と石材 内山孝男氏(秋川流域ジオの会会長)
化石の展示スペースは狭く展示物は小さいので、別スペースにピックアップした化石本体とその写真を並べて解説しました。古生代では大岳鍾乳洞のフズリナ研磨断面。切られた方向によって内部組織が多彩な見え方をしています。中生代ではアンモナイトの気室が果たす機能と縫合線の美しさ。南沢産鳥の巣石灰岩の層孔虫。五日市町層群の化石ではクリーニングの必要性に言及しました。第四紀では、今年1月10日の飯室層巡検で長岡さんが採集したイズモユキノアシタガイ化石の、採集後の処理について説明しました。
並べ替えた化石の前で説明する内山会長
フズリナ(古生代)とアンモナイト(中生代)
層孔虫(鳥の巣石灰岩)
チタスナモグリ
イズモユキノアシタガイ
「山の自然学への招待」
小泉 武栄氏(東京学芸大学名誉教授・秋川流域ジオの会々員)
自然はすべてつながり、生物多様性は地質に大きく関係している。山は岩石により地形が異なり、地形によって風、雪、水、土壌が異なり植生が異なる。これを餌とする昆虫、鳥、動物も又異なる。何故違うのかを考えるのが、山の自然学Geo-ecology(地球生態学)。地質がその基本的な役割を果たしている。山では地質を見る人は少ないが、何故を考えることがその第1歩。
その実例として演者は数多くの観察データを示した。雪倉岳の雪の積もらない部分には強風地の植生、雪の吹き溜まりには雪田群落植物群。(日本の山は世界一風が強い。) 蝶ヶ岳の森林限界が蝶・槍で下がっているのは、崩れない岩塊が植生をくい止めているから。北岳のキタダケソウは、石灰岩地のみに生育。三頭山のブナ林は、日本海側の植生が江戸時代の氷河期に移ってきたもの。更に北極圏のオアシス、エルズミア島谷間の草原は、太陽のオーブン効果(熱)?といわれていたが、谷間は花崗岩とドロマイトの境にあり北の山はチョウノスケソウの群落、南の山は斜面の激しい崩落で植物は殆ど無く,ここでも地質が関係している。
講演する小泉先生
キタダケソウ <環境省HPより> ・ 絶滅危惧Ⅱ類(環境省第4次レッドリスト)
チョウノスケソウ(北岳) <緑のgooより>エルズミア島の北側の山にはこの群落が
saxifraga oppositifolia (?)<ウキペディアより >エルズミア島南側の山にはピンクのこの花のみが生育
奥多摩のはやぶさと地学
御手洗 望氏 (奥多摩クマタカ調査チーム・秋川流ジオの会会員)
ハヤブサは垂直に近い険しい崖に、巣をつくらず直接卵を産む。繁殖場所と地質とは何か関係があるのではないかと考え、調べてみた。奥多摩山地の稜線は付加体の地質構造を反映して北西―南東に延びるが、自然崖では、繁殖地は南から西向きの崖に限られ、しかも秩父帯に限定される。これは、地質が北東向きに傾斜しているため北向き斜面はなだらかになってしまうことと、険しい崖をつくる硬い岩石(チャートや石灰岩)が秩父帯のみに分布するためである。
下の写真はYouTubeより借用 https://www.youtube.com/watch?v=BH8gPiXlW7k #世界の奇跡 急降下する戦闘機、または地球最速の生物、ハヤブサ!
ハヤブサの生態がご覧頂けます。
ハヤブサ YouTubeより
講師:御手洗望 氏
講演会の様子
「小仏層群(四万十帯を追いかけて)」
坂田武平氏 (小仏層群研究者)
坂田さんには、大学院時代、四万十帯の秋川以南から相模湖までの地域を精力的に地質調査された結果をもとに、四万十帯の特徴やでき方について講演していただいた。
まずは日本列島の地質帯や地質時代についてふれ、日本列島の形成史の概要と付加体のでき方などをスライドで解説。次に小仏層群の特徴について、盆堀川・刈寄川周辺、南秋川・矢沢周辺の詳細なルートマップを提示して、地質調査の実際や記載の仕方について説明された。この地域は砂岩や砂岩頁岩互層が複雑に繰り返しており、謎の多い難しい地層であることが改めて認識できた。特に和田向の褶曲については、詳細なスケッチ図を見せていただき、厚い砂岩層にはさまれた砂岩頁岩互層が構造的に褶曲したという説明が印象に残った。
講演する 坂田武平氏
坂田さんが手書きされた「和田向の褶曲」
2021年学習会・講演会
コロナ感染症防止のため、全体会を休止中のため学習会・講演会もお休みしていました
2020年学習会・講演会
* 参加費 一般300円 会員無料
4.11月21日 青谷知己氏(秋川流域ジオの会副会長)秋川流域のジオ学入門 テキストから探る関東地方の地質学の現状
参加者会員 30
3.10月17日 竹内英二氏(秋川流域ジオの会会員)テキストから探る関東地方の地質学の現状
参加者 会員 30
2.9月19日 鈴木肇氏・田野倉勝則氏 (秋川流域ジオの会会員) 秘境ムスタンーヒマラヤ造山運動の 現場を歩く
参照資料 内山孝男氏 ネパール・ムスタン地域の地質巡検報告
参加者 会員 31
1.2月01日 千葉達郎氏(アジア航測(株)先端技術研究所室長)赤色立体地図で見る秋川流域のおもしろさ
ーー発明者千葉達朗氏が語るーー 下図参照
参加者 一般67 会員26
2019年の学習会・講演会
6.11月19日 田村糸子氏 首大学東大学院都市環境科学研究科 地理学教室 客員研究員
広域テフラ対比に基づく多摩川流域における古環境復元 下図 参照
参加者 一般7 会員21
5.10月15日 竹内英二氏(秋川流域ジオの会会員)テキスト学習「関東山地東麓の丘陵と段丘」
一般3 会員17
4. 9月17日 鈴木 肇氏(秋川流域ジオの会会員)「枕と素麺の間」上養沢ビリ窪沢の地質調査報告
一般7 会員20
3. 8月20日 竹内英二氏(秋川流域ジオの会会員)テキスト学習「フォッサマグナにおける五日市町層群の位置付け」
一般4 会員22
2. 7月16日 内山孝男氏(秋川流域ジオの会会長)日の出町の博物学者故宮野浩二氏が収集した化石・岩石について
一般6 会員20
1. 6月18日 竹内英二氏(秋川流域ジオの会会員) テキスト学習「付加体」
一般1 会員17